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<性欲撲滅ウイルス>
この世にはびこる性犯罪 その犠牲者の復讐をと曾井による
執念の撲滅ウイルス作成に挑む社会問題サスペンス
ある大学に一人の青年がいた。しがない普通の学生に過ぎなかった。
友人、凱之「よう!曾井」曾井「オッス!」
「曾井、元気か?」「あぁ、元気さ」
凱之「ところでさ、テニス部の百合ってさ、気立てのいい娘だよな」 曾井「なんだよ、気があるのか?」凱之「そんなんじゃないが、おまえに似合いだと思うぞ?」
曾井「何言ってんだよほっといてくれよハハハ」
曾井は、大学医学部の人間だ。ただ、淡々とする作業であり、これといった目標分野がはっきりとは定まらなかった。それでも、いつかは医療の道を目指したい夢があった。そう思いつつ毎日学生生活をこなしていった。
曾井は休日にはトレッキングに出かけるのが趣味であった。お気に入りのワークブーツが趣味に導く要因だった。街だけで履いても味が付くのが遅いから山だと思ったのだ 。それからというもの、休日のたびにトレッキングを楽しんだ。ネットではブーツの経年変化を投稿するのも曾井のひそかな楽しみなのであった。
幾日の時が過ぎ、休日は終わる。
この日はどんよりの朝だった。曾井「また晴れるさ」
曾井はいつもの日常を送った。それは曾井が抱える悩みの表現に思えたのである。
曾井のトラウマ――
曾井は大学のテニス部にいるある女性が好きになっていた。
曾井は控え目な人間であった。まさか自分と交際など考えてはいなかった。しかし、偶然、街でばったりと女性と対面した。声をかけたのは女性であり、曾井のことを知っていたらしい。気が通じ合いファストフードへ思いっきり誘ってみた。それから、交際が始まり、プラトニックな関係が続いた。
彼女の名は百合。「曾井君、趣味はなんなの?」曾井「あぁ、トレッキングさ。一緒に行くか?」百合「いいよね!ぜひ行きたいわ!」
そして、休日には約束した山にトレッキングに出かける曾井と百合であった。
曾井「百合、この山は低山だからそんなに苦しく登らないで済むぞ!」
百合「なぁにぃ、それなりに苦しいってことじゃん!?」
曾井「ハハハ~そうかもな!そらそうだろ、重力に逆らうんだからそこそこ苦しいに決まってるよ!その代わり、スマートな体になっても知らないからな~」
百合「いやぁこれ以上綺麗になったらあなたの責任だから!」
「ハハハ~ハハ」
百合「わぁ森の中って癒やされるわぁ小鳥の鳴き声に綺麗なお花そして樹木っていいものね!」
曾井「あぁそうだろ!空気もいいしさ、俺は頂上で弁当食べてさ、そのあとの下りが一番好きさ!」
百合「なんで?」
曾井「重力に従って引っ張られるから風も切りながら楽ちんで下れるからさ!」
百合「そうかぁ」
お互い幸せな気持ちだった。
しかし、その彼女はある日、学校に来なくなった。
それには、深刻な事件が降りかかったためだ……。
百合は友達と学校帰り、会話に夢中になりすっかり時間も遅くなっていた。夜中に帰宅しようとした。
男a「ヘヘヘ、ごちそうが来たぜ」男b「やったねペコペコだったんだぞ」男は百合の口を塞ぎ、車に運び入れた。百合「いやー!うぐうう…」そして百合は男どもに汚されたのだ。
百合は呆然とし、涙があふれる。
レイプであった。それを知ったのは、ニュースでその状況から曾井は彼女だと判断できた。非常に心押しつぶされ、男どもを憎んだ。しかし、どうすることもできなかった。
ただ、この時点でなにが解決の手立てかなど知るよしもない。方法まではまったく想定もできない苦しみに喘いでいた。しかし……
曾井は、街に出た。そこには、女性を強引に誘う憎き男どもがいた。そして、曾井は吹っ切れた。その男どもに――曾井「やめろ!嫌がってるだろ!」しかし、男ども「何だおめぇこらぁ!殺されたいんか!おい、こいつぶっ殺そうぜ!」曾井はぼこぼこにされた。
そこに警察が来た。「おいやばい、もういい、逃げろ!」
曾井は泣き叫んだ――「ふざけんな女性は物じゃないんだっ! 物欲の目で見るのはいい加減にやめるんだーーーっ!!」
周りは異様な光景に目をむいた。街の人「喧嘩か? 」「なにぃあの人?」「頭おかしんじゃないのか?」
曾井「あぁ、クソーッ獣たちめ!これが人間なのか~
俺は医学を学んでいる、きっと何か科学などで性欲を滅ぼすヒントがあるはずだ――今までの負の連鎖はこれで終わらしてやる!きっと必ず……」
そして夜遅く帰った。
母「遅かったわねぇ、えっ、おまえケガしてるじゃないの、どうしたの、医者に診てもらわないと」
曽井「何でもないさ」
母「でも…」
翌日大学に出かける。
学生「おい、その顔どうしたんだよ!喧嘩でもしたのか?」
曾井「いや、顔から転んだだけだよ大したことないさ」
学制「何やってんだよ、気をつけろよ!」
曾井「あぁ」
テレビニュースでは、恒例のように暗いニュースばかりだ。その中には必ずというほど性犯罪がある。曾井は性犯罪に異様に嫌悪感を抱いていたのである。
「いつまでこんなこと野放してるんだよどうにかできないのか……。 」
マスメディアでも、「誠実キャラの芸能人のくせに裏では性にだらしない裏切りだったり……。ちぇっ高等な人間たちだろ?性になるとありえないほど獣になるんだよな」
「尊敬する人間が、滑稽な性癖・性犯罪なんてありえない――
【女遊びも芸のうち】【英雄色を好む】などと言われるが、ふざけんな!それは自分の弱さを誤魔化す屁理屈迷言じゃないか !!
有性生殖であるがばっかりに……。神がいるならば、こんな反吐を催す世界になるくらいなら、どうして神は、人類を無性生殖にしなかったんだ!意地が悪いじゃないか――それとも悪魔の仕業なのか……?
アダルトビデオが性犯罪の誘惑をしているのはきっと間違いない。あまりに過激すぎる行為のシーンなど必要あるものか!AV業界の利益主義に社会影響を蔑ろにしている。強制力や影響力が強いスプラリミナル知覚の悪影響がある。
人間という男には強姦欲が本能的に存在する。それを呼び起こそうとしてることに目を逸らしてるだけだ。
世界じゅうネットで子供が簡単にAVを目に触れてしまう。健全な育成などAV業界にとっては上の空だ。
大人のクズめ! AVは逆効果であって、わいせつ物図画頒布罪として規制を厳しくするべきなんだ。AVがなくても社会にマイナスにはならないさ。それに比べ、風俗は性犯罪抑止に貢献してるのは確かだろう……。今の時点では仕方ないさ……」
と、そうやりきれなかったのだ。人が獣に変貌することが違和感でしか思えなかったのだ。現実にはそういう人間ばかりで失望していたのだ。まじめな曾井は、いつもそんな異様複雑な思いに悩まされたのである。
曾井はインターネットでニュース書きこみは欠かさず読むのである。
「えっ 、こ、この記事はどういうことだ……。」
それは、『性犯罪はいくら法で厳しくしても欲望のがんじがらめであっていつか爆発するよ。
今の時代なら可能であろう、遺伝子工学で性欲なくすウイルスを誰か作ってくれないか(ヒント>性欲中枢「視床下部」のテストステロンを作る根幹を狙ってほしい)。人類は減るかもしれないが、人口爆発は防げる。性犯罪の激減は大きい』 であった。
「これは今までに見ない内容だ……ほんとうだろうか?本当に作成可能なのだろうか?性欲がなくなれば最高な世界じゃないか!? そうなんだな、自分以外にも性犯罪に対する憎しみや愛と性の矛盾に疑問を抱えてる人がいるってことか……」
曾井はそう思わざるを得なかったのだ。
曾井は性欲をなくすウイルスのことに強い興味が注がれていたのである。
朝、目が覚め、ネットニュースを読んで出かけるいつもの日常。それにはまた、数々の性犯罪である。
性被害は成人ばかりの問題ではない。未発達である少女にさえ性被害は毎日のようにどこかで繰り返されている。これが、まともな世界だといえるのか!親の身にもなれば耐えられない苦痛を生涯にわたり抱えるんだ。絶対に赦されない、赦して堪るか!」この世界の現状が異常なほどに許しがたいものであった。
嫌悪感は繰り返す。そう、この時までは……。
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