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「仕方ないじゃないですか、私が選ばれちゃったんですから」
私より全然格下の、同じ会社の後輩女子。馬鹿にしたように私を見るその視線は、醜いのなんのって。
「別に良いよ、全然。あんなヤツ、アンタにあげる。私の使い古しで良ければ」
余裕たっぷり。に振る舞え、私。
「っ、可愛くなーいっ。そんなだから、捨てられちゃうんですよ」
クシャッと、顔を歪ませる目の前の後輩。
「私に悔しがって欲しかったのかもしれないけど、残念だったね。最近飽きてきてたし、丁度良かったよ。寧ろ、ありがとう」
物凄く穏やかに見えるようにニッコリと微笑むと、クルッと彼女に背を向けて歩き出す。いつもより、ヒールの音が響くように意識しながら。
「クソ女!アンタなんか誰にも選ばれないんだからっ」
街中にも関わらず、大声で叫ぶ後輩。無視して、そのまま歩き続けた。
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