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「悪いけど、私は行かない。自分から絡んでおいて申し訳ないけど、昨日のことはできればなかったことにしたいって思ってる。記憶曖昧だけど、物凄く醜態晒してたことだけは覚えてるし」
俯きがちに言う、青空君の顔は流石に見れない。
「何て言うか…セフレとかそういうの嫌いだし、だからって付き合ってほしいなんて思ってないし、あんなことあった以上友達も無理だし…青空君だって、私と連絡先交換しなかったってことは昨日限りの付き合いにするつもりだったってことでしょ?」
「青空君は軽い気持ちで誘ってるだけだと思うけど、私はそんな風に思えないから。だから、行かない」
こんな風に言うなら、服やらなんやら買ってこなければいいのに。我ながら、面倒臭い女。けどまた青空君とホテルに行ってしまえば、きっと昨日の二の舞。青空君にその気なくても、二人っきりって健全じゃない。
二十六にもなって二十一のセフレ持ちなんて、笑い話にもならない。お互い、関わらない方が絶対良い。
青空君から距離を取って、愛莉から借りた傘を勢い良く開く。いつの間にか、雨は小雨になっていた。
「そっか、じゃあ仕方ないね」
笑っているのか、悲しんでいるのか、良く分からない表情。ただ一つ確かなことは、青空君は私を引き止めないってことだ。
「バイバイ、青空君」
「さよなら、亜緒さん。これ、ホントにありがとう」
こうして私達は何の因果か再び出会い、そして始まることなく終わった。きっともう、会うことはない。
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