第四章「拗らせ女子の苦悩」

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ーー 「一ノ瀬さん、今日飲み会あるんだけど良かったら来ない?」 休憩時間に同じ課の一つ上の先輩、三上さんから声をかけられた。 「急だから無理かな?」 「いえ…けど飲み会って何の?」 私も一応社会人、社内で開かれる飲み会には普通に出席するし、誘われればそれなりに応じたりもする。誘われないだけで行かない訳じゃないのに、周りには「理由なくいつも飲み会断る嫌なヤツ」とか言われてるらしい。 三上さんは良い人で普通に話もするけど、プライベートな付き合いは特にない。飲み会にも、こんな風に誘われたことは一度もなかった。 「手っ取り早く言えば合コン、かな」 少し、言い辛そうにする三上さん。 「ごめんね急に。只でさえ一ノ瀬さん、そういうの嫌いそうなのに」 「いえ…」 確かに好きではない。ていうか、大学時代愛莉に誘われて何回か行ったけど、ノリが良く分かんなくて結局浮いちゃって居辛くなって先に帰る、ってパターンしか経験したことがないから嫌いっていうより苦手って方が正しい。 「私、で良いんですか?」 「え?」 「私が居たら、雰囲気壊しそうだし」 「あ、それは大丈夫。合コンって言っても、二対二だから」 二対二?つまり、女は三上さんと私の二人だけってこと?益々、意味分かんないんだけど。 多分、私の脳内思考が全部顔に出ていたんだろう。三上さんが、更に言い辛そうな顔をする。
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