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「亜緒さん、ホントに良いの?」
「うん」
「この間はダメって言ったのに」
「あの時は、まぁ…」
「そのまま居座られたら困るって思ったんでしょ」
「正直言うとそう思いました」
「亜緒さん、素直」
何が面白いのか、青空君はクスクス可愛らしく笑った。
ーー
「亜緒さん、良い所住んでるんだね」
「会社が安く借り上げてるマンションだから、立地良いのに家賃もまぁまぁなんだよ」
「へー」
あ、あんまり興味なさそう。
私の部屋へとやってきた青空君は、部屋に入るなりキョロキョロとあちこち見回した。その度に、お酒とおつまみの入った袋がガサガサ音を立てる。
因みに、ここ来る前に寄ったのはこの前ずぶ濡れ青空君と会ったコンビニです。
心がグズグズしてザラザラして、どうにもならなくて。兎に角一人になりたくなかった私は、青空君の甘い誘いを断りきれなかった。
ホテル、には行きたくなくてつい「家に来れば」なんて言ってしまった。可愛い小物もお洒落なインテリアも特にない、至って普通の部屋。
雑誌から出てきたみたいな青空君は、私の部屋には馴染んでない。浮いてる。
のに、青空君は
「この部屋、落ち着く匂いがするね」
なんて忖度してくれた。
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