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その時、廊下の方から足音がした。
スパーン!
声をかけることなく、開かれた障子は、やはり沖田だった。
「総司、『用があるときは声をかけてから入れ』といつも言っているだろうが」
鬼の副長と呼ばれる土方は額に青筋を立て、ますます鬼らしくなった。
「まあまあ、いいじゃないですか土方さん。そんなに怒っていると、本当に鬼になっちゃいますよ。それよりもどうして、この子がいるんですか」
「いちいち余計なんだよ。それより、総司、用事は何だ?早くしてくれ今はこいつと話していたところなんだ」
土方に尋ねられて思い出したかのように沖田は話し始めた。
「あ、そうそう。今日の巡察のことなんだけど、昼と夜、左之さんと入れ替わってもらった」
昼と夜が入れ替わったことを聞いて、土方はいいことを思いついた。
「そうか、じゃあちょうどいい。昼の巡察にこいつを同行させてやれ。紫苑が来てから一ヶ月が経つ。そろそろ外に出て調べたいそうだ」
土方の発言は意外だったのか沖田は聞き返した。
「いいんですか?裏切るかもしれないのに」
そう聞いたが、少し考えて、裏切れば僕が斬ればいいんだと納得して、頷いた。
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