第一章 新たな出会い

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 夜、朔の願いが叶うことはなかった。残念ながら、雲はひとつもなかった。 「さあ、やるか」 全身真っ黒の忍び装束(しょうぞく)に身を包んだ朔は、素早く屋根の上に飛び移る。 おはつの家には、いくつかの人影。 「ちっ、集団だったか。まあ、でもやるしかない」 集団の頭らしき男が口を開いた。 「さっさと、攫ってしまうぞ」 「お頭、俺が裏から回ってきますので、お頭は……」 プシュッ、ブシャー! 次の瞬間、仲間の首が勢いよく吹っ飛び、血が吹き上がった。 「うわぁぁぁ」 口々に声を上げたが頭は冷静に言った。 「誰だ!?出てこい!」 「さすがはお頭さん。私のことは怖くないのね。でも、残念。今日であんた達の組もおしまいだね」 朔は不気味な笑いを浮かべ、そう言った。 「お前を殺せば何の問題はないだろう」 「お頭、あの左右で色の違う瞳を持っている特徴は、間違いない『漆黒の朔』物の怪ですぜ。そんな相手に適うわけ……」  お頭は子分たちの言葉に(かつ)を入れた。 「黙れ!殺してしまえば、そんなの関係ないだろう。行くぞ、お前たち!」 「うりゃぁ」 人攫いたちは、一斉に朔に向かって飛びかかっていった。  朔は素早く交わし、次々と斬っていく。まるで、草木の剪定(せんてい)をするように、淡々と殺していく。  あっという間に、全てが終わって、一息つこうとしたその時だった。
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