第一章 新たな出会い

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 朔は深呼吸を一つして、苦無(くない)を握る。こうやつて、一対一で正面から戦うのは、不利になる。刀と苦無では間合いが全然違う。 しかし、朔はうまく刀を(かわ)しながら、間合いに入る。 これなら勝てる! 朔は一気に間合いに詰め寄り、最後の一撃を加えようとしたその時だった。 「大丈夫か? 総司」 「ちっ、仲間か」  朔は一歩引いて、もう一人の相手を見据える。 向こうの方から走ってきた男も沖田と同じように、浅葱色(あさぎいろ)段駄羅模様(だんだらもよう)の羽織を着ている。  二対一では、勝てそうにない。いや、確実に負けるだろう。朔の得意分野は、暗殺や不意打ちなのだから。 「……逃げよう」朔はそう決心し、隙を見て走り出した。 「ちょっと、待ちなよ」 「追いかけるぞ、総司」  沖田ともう一人の男は朔の後を追いかけていく。  今夜は、満月だから、闇の中に紛れ込むことは難しい。満月に殺しをしたことが間違いだったと朔はこの時思った。
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