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第三章 仲間
一、家族
新選組から芹沢がいなくなって、しばらくした頃だった。屯所は日常を取り戻しつつあったそんな日だった。紫苑は月夜に照らされた京を一番隊、三番隊と一緒に巡察に出かけていた。
最近、京の町では何者かに暗殺される事件が増えていた。まるで紫苑が「朔」として殺し屋をしていたように、人から恨まれるような奴ばかり殺されているのだ。その調査のかねて、夜の巡察は二部隊体制になっていた。
「紫苑ちゃん、君、本当に心当たりないんだよね?もう、暗殺はやってないよね?」
紫苑の暗殺術によく似ていたので、沖田は思わずそう聞いてしまった。
「知らない。私こそ誰の仕業か知りたいくらいだよ」
「しっ、誰かいるぞ」
斎藤の言葉で、その場が一瞬にして静まった。恐る恐る様子を見ているとどうやら、強盗のようだ。
「一君、行くよ」
沖田が出ていこうとした時、斎藤は静かに止めた。
「いや、待て」
次の瞬間、強盗たちは血飛沫とともに倒れこんだ。
素早いこの動き、私はこの動きを知っている。
紫苑は直感でそう感じた。
「行くぞ」
斎藤の言葉で、一斉に走り出した。
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