これからの時間

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これからの時間

「午前3時の神隠し」 現在、時刻は午前1時。 月さえ姿を消した新月の夜。 小さなテーブルの上には、かつて自分が使用していたメモ帳が置かれている。 その横にはいつものコンビニで購入したざるそばと抹茶どら焼き、ボトル缶のブラックコーヒーが袋に入ったまま床に置かれている。 手元にはプラスチック製の下敷きの上にルーズリーフが1枚、洗濯バサミによって磔にされている。 週に何度か使用している古いアパートには、創作活動の為に使用する参考資料である本などが積まれていた。 彼は自分のペンネームを使い、様々なジャンルの作品を生み出している。 コンビニへ行く道にあるあの公園のベンチを見ると思う。 ××はどこへいったのだろう。 絵を愛した彼は、文を愛した自分に遺された作品たちを託された。 今ここにいるのは、午前3時にいなくなったはずの「自分」ではなく、後を継いだ「彼」なのである。 今日も彼は自分の作品たちに2人分の熱を注ぐ。
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