「あとがき」

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「あとがき」

「あとがき」 ここまでが「自分」と「彼」の話である。 いや、ここからは口調を変えるね。これが本来のぼくの口調なんだ。 最後に書いた通り、ぼくは話の最初の「自分」じゃないんだ。ぼくはメモ帳を拾った「彼」の方。絵が好きな方ね。 文が好きだった彼は話通りある時いなくなっちゃった。 この「午前3時の神隠し」っていう話は、途中まで彼が書いて、彼の失踪後に机の上に置いてあった作品なんだ。 だから、彼がいなくなった描写から後はぼくが書いている。 そんな作品。 で、ね。 なんでわざわざ「あとがき」なんて章をつくって説明してるかっていうとね。 原本に変なとこがいくつかあったんだ。 意味が分からない文。レシートで時間を確認っていうようなこと、書いてあるでしょ? あと、やけに今の時間っていうのを気にしてる。 始めはそういう性格、そういう書き方なんだろうなって思ってた。 でもね。 彼とぼくがアドレスを交換したレシートあったでしょ? あれ、後から見て気付いたんだ。 彼のレシートの方、年が1年前だった。 あとね。彼がほぼ毎日行ってたっていうコンビニ、今ない。レシートに住所と電話番号載ってたから確認した。その角にあるコンビニは1年前に移店して、隣町に移ってる。今はもう、そこは空き家になってる。 それと、これは偶然かもしれないけど。 彼がいなくなる前日にやり取りしたLINEのメール。 内容がこれね。 「いやだ まさか どうして こんな」 錯乱してたのかもしれないけど、縦読みすると「いまどこ」。 これって偶然かな? あと、原本とは関係ないんだけど。 彼の使ってたアパート、解約されないでぼくが使ってるの。 名義だけぼく僕の名前にしてね。 オーナーさんもいいって言ってくれてた。 理由がね、失踪直前に数年分の家賃まとめて振り込んであったんだって。返す人もいないから、ぼくに使ってもらいたいって。 ねえ。 ここまで読んだ人。 これって、どう思う?
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