もう3時

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両手に一杯の袋を持って歩く。 ( 重い。) セールの商品なのに全部ブランドの袋に入れてくれた。 日本で買ったら靴1足分も払ってないのに、すごい荷物だ。 いつもならデパートの外商さんが家に届けてくれるので自分で荷物を持つ事は無いから、すぐそこに見えているホテルがとても遠く感じる。 大満足の買い物をしたはずなのに、なぜか早く帰らなければと気が急ぐ。 それは両手の指にかかる重さのせいだと思って立ち止まり携帯を見るが何の連絡も無い。 それでもこれ以上は持てないので急いで歩いた。 ホテルの部屋にたどり着きドアを開けると何故かいつもと違うような気がした。 でもここは家ではなくホテルなんだと思い直して、 「 ただいま戻りました。」 一人で買い物に行かせてもらったのだから、出来るだけ明るく声を出した。 「 お帰りなさい。 買い物は楽しかった?」 子供達に声を掛けられ、 「 うん、これ見て。」 と、荷物を置いくと、 「 こんな短い時間で、よくこんなに買えたね。 ママすごい。 楽しかった?」 「 うん、すごく楽しかった。」 「 良かったね。」 いつもの優しい会話をしながら部屋着に着替えようと 隣の部屋で服を脱ぎ出す。
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