冴えない高校生

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「そうですね。いただきます。」 僕は慌ててカップを手に取る。独特なスッキリとした香りが鼻をくすぐる。今日はダージリンか。心の中で呟いて、カップを口に運んだ。 「美味しいです。やっぱり翡翠さんは紅茶淹れるの上手ですね。」  心の底からそう言うと、翡翠さんは「ありがとう。」と素っ気ない態度のまま言った。真っ白な頬が仄かに桜色に染まっている。 「照れてるんでござるか?」  ぼたもちが冷やかすように言う。このハリネズミも懲りないな。 「そういえば、翡翠さん。1組は文化祭で何をするか決まりましたか?」  また、ぼたもちの前に水が置かれないように話題転換を図る。 「お化け屋敷。」 「楽しそうですね!翡翠さんはお化け役ですか?」  翡翠さんがコクンと頷く。 「…雪女。」 「雪女ですか。楽しみですね。」  また翡翠さんが頷く。心なしか嬉しそうに見えるのは気のせいだろうか。 「翡翠は、ほらー映画が大好きでござる。」  りんごを齧りながらぼたもちが言う。 「もちこ。また私の情報を……。」  翡翠さんの顔が僅かに曇る。 「大丈夫です!誰にも言いませんから!」  慌ててそう言うと、翡翠さんは小さくため息をついた。
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