プロローグ

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 子供たちよ。これから、お父さんがする話を良く聞きなさい。  生きてくってことは、楽しい事ばかりじゃない。  苦しい事や、辛い事……、悲しい事が沢山ある。  嵐の海のように、自分の思い通りに進むことも出来ない。  闇夜の海のように、先に何があるかも分からない。  それでもなぁ。荒ぶる波風の中に細い一本の光る道が見える事がある。  それは、モレナ母さんの髪の毛のように、細くて、けれども明るい、一本の光明だ。  そんな希望の光をみつけたらな、直ぐに捕まえるんだ。  幸せっていうのは、向こうから転がって来るもんじゃない。  さがして探して世界中を走り回りなさい。  守備良くよく見つけても、幸せはなかなか捕まえられはしない。  よしんば捕まえても、逃げられるのはよくある事だ。  そしたら、諦めずに、さがして捜して世界中を飛び回りなさい。  何度でも、幾度でも。  そして、最後まで諦めずに居れたなら、幸せを自分のそばに引き寄せる事が出来る。  子供たちよ、お父さんが、これから話して聞かせるのは、お父さんが幸せを見つけ出す までの、冒険の物語だ。  それは、船の底の、暗ーい暗い、船倉の片隅から始まった……。
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