第三章 人外の城

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 嗚呼、俺は馬鹿だ。大バカ者だ。  バカの世界大会があったら、ダントツで優勝間違いなし。  ああ、穴が有ったら入りたいとは、この事だ。まぁ、実際、狭い穴の中に身を忍ばせて いるのだが……。  全く判断を誤った。悔やんでも悔やみきれない。なぜ、あの時、あんな決断をしたのだ ろうか。だが、それも今となってはどうしようもない。後悔役に立たずとは正にこの事。 って、たとえが違うか?  結局のところ、俺は一時の向こう見ずな勇気で、換りの子を助けるべく、東へ進む道を 選んだのだ。  城には意外なほど簡単に侵入できた。それでいい気になったのが不味かった。見回りの ブジンに見つかって、何とか振り切ったまでは良かったが、迷路のような城の中で自分が 何処に居るのか分からなくなった。  その後、ブジンに遭遇する度に、ネズミのように尻尾を巻いて逃げ隠れすることを繰り 返し、今はゴキブリと共に暗い穴の中に身を折りたたんでいる。
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