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ザッザッザッザ。
ブジン達が歩調を合わせて歩いている。一斉に何処かに向かって進んでいるようだ。
俄かに騒がしくなってきた。何かの動きがある、そう直感した。
この動きに乗じて城から逃げるか、それとも換りの子を助けに行くか……。
少し悩んだが、一先ず様子を見る事にした。
気づかれぬように、ブジンの後をつける。
ブジン達は、城の最下層へと向かっている。
俺は、一つ上の階層に留まり、格子窓の隙間から様子を伺う。
ブジンたちが集まっている先は、船着き場だった。
島のその部分が入江になっていて、その奥の港が、城の一部になっているのだ。
その港に、俺が脱出してきた幽霊船が入港している。
港には、ブジン達が続々と集まってきている。その数、50体程。
整列したブジンの前には檻があった。多分、幽霊船から降ろされた物だ。
その檻の中で、件の子が体を丸めて蹲っている。気のせいか、昨日よりも小さいように
見える。怯え切って、縮こまっているのだろう。
その檻の前で、ブジン達が地面に木の柱を組んで、何かを作っている。
奇妙な形の、木組みの塔が出来上がった。
次の瞬間。その塔に紫色の雷が落ちた。
閃光で目がくらむ。
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