第一章 人ヶ島

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 そこは、天に召された魂の安息を願う場所。  石板の前に、項垂れた子供が佇んでいる。  その子の後ろにも、数人の大人が胸の前で両手を合わせて立っている。  祈りの詞が終わり、子供に慰めの言葉をかけて、大人が一人、また一人と去っていく。  日が西に傾いた。  石板の前には、先ほどの子供が、只一人立っている。  その子の作る小さな影が、どこまでも、どこまでも伸びていく。  ******
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