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俺の名前はウパ。
俺は小さな漁師の町の船大工の家に生まれた。
漁師が使う小型の木造船造りを手掛けていて、職人も三人ほど使っていた。
家族は両親と俺。倹しくも、楽しい暮らしをしていた。
さきの戦が始まるまでは……。
戦が激しくなり、俺の町からも、多くの若者が兵隊として持っていかれた。
漁師をする者が減って、船大工の仕事も無くなった。職人も次々と辞めて、舟の修理や
家具の修理でほそぼそと生計を立てねばならなくなった。
戦火が迫り、町に居るのは危険だからと、子供だった俺は両親と別れて山奥の村に疎開
した。
ところが、戦が終わって故郷に帰ってみれば、町は一面の焼け野原、家があった所には
兵隊用の長屋が建っていた。
両親たちは行方知れず。町の住人も、全く知らない人に入れ替わっていた。
途方に暮れて彷徨っていた俺に、親切ごかしに声を掛けて来たのが人買いだった。
仕事を紹介するからと騙され、馬鹿正直についていったら、この有様だ。今は、何処へ
向かっているのかも分かっていない。
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