08

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 ぬりぬりとハンドクリームを塗りこむように、時折後ろの窄まりに擦りつけ腰を穿つ。入江には悪いが、このままなし崩しに挿入させてもらうつもりだ。 「有伎、好きだ。なあ入れてもいい?」 「やだ、って言ってる……」  声に勢いがなくなっているのをいいことに、閉じていた股を左右に大きく開き、後孔へとあてがった。 焦って足を閉じようとする入江を抑え付け、屹立で秘部を擦って刺激する。 自分の下でいやらしい体勢をしている少年が、ひどく扇情的で興奮した。 「一度だけ。そしたら諦めるから」 「あきらめる……?」 「有伎の中に入りたい」  長い間放ったらかされていた雄を握ると、入江が甘い声をもらす。それを合図に、硬くなった先端を小さな孔につき入れた。 「うあ、あっ、あああ……っ」  慎重に挿入しながら、全て入りきったところで、ぎゅっと閉じられた入江のまぶたにキスをした。 「苦しい? ごめんな。でも全部入ったよ」  中に入ったままゆさゆさと腰を揺らすと、入江が「ほんとだ……」と小さくこぼすので、たまらなくなって唇を奪った。舌を絡めて吸い付くと、入江が圧迫感を紛らわそうとそれに応える。 投げ出された手のひらを捉え、恋人繋ぎをすれば、ぎゅっと握り返してきた。  そんなにイキたいのかと苦笑しつつ「有伎、好きだ」と囁く。 かわいい、最高、と繰り返すたび後孔が締まるので、優越感という快楽は性別の壁をも飛び越えるのかと、少しばかり感心した。  指で探った時に見つけたイイところ目がけて、トントンと腰を穿つうちに、入江の呼吸が激しくなり、目尻から生理的な涙がこぼれ落ちた。 「どうした? つらい?」 「わかんな……あっ、なんかヘン……こわい……っ」 「何が怖いの」  濡れた頬を拭ってやりながら問うと、その手に頬をすりりと擦り付け、入江がまた瞳を潤ませる。 「んんぅ……おまえのが、中……ヘンにするからぁ……」  うまく息ができないおかげで語尾が甘えた感じに乱れ、柊馬は息を飲んだ。 「……俺の? 有技、童貞のコレが怖いの?」 「うん、こわい……宗近の、熱くて……おかしくなる……っ」  泣き出しそうな声で首に腕を回してしがみつかれ、プツンと理性の糸が切れる。  初めてのセックスに溺れてしまわないよう、なんとか耐えていたのに、こうも素直に身を委ねられると、意地になっていることがバカらしくなってくる。しかも気のせいでなければ、入江に初めて宗近と呼んでもらえた。  もういい。とりあえず休戦だ。  柊馬は自分に言い訳をしながら、入江の唇を奪い、嬌声を頼りに抽挿を繰り返した。  何も考えずに貪った体はただただ気持ちよく、終わりなど来なければいいのに、と無意識に願っていた。
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