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厨房に戻ると、お湯が沸いていた。海野は冷凍庫からレモンティー用に用意してあるスライスレモンを3枚取ると、マグカップに入れてお湯を注いだ。
凍ったレモンの成分が溶け込むのを待つついでに、水分補給をする。
マドラーでかき混ぜると、小皿に3枚のクッキーを並べて奇子が寝ているテーブル席に置いた。
奇子の右手薬指に赤いリボンを結びつけると、そっとキスを落とす。
「おい奇子、起きろ」
海野は奇子の肩を揺すって起こした。
「うぅ……ん……。今、何時ですかぁ?」
寝ぼけまなこの奇子は、左手で目を擦りながら海野を見上げる。
海野はちらりと時計を見る。時刻は午前3時15分。
「3時過ぎだ、夜更かしは美容によくない。レモネード作ったから、それ飲んで寝ろ」
海野はぶっきらぼうに言うと、奇子の頭を乱雑に撫でて住居側に戻った。
「また心配かけちゃったなぁ……。あれ?」
奇子は右手薬指に、赤いリボンが結わえてあるのに気づく。
「もう、健次さんは……」
そう言いながらも奇子は頬を染め、リボンにキスを落とした。
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