ネエネエ先輩へ、家に余っていたハガキで入部することを書きました

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 かしこ、草々、手紙のエンドは、どっちだっけ? 国語で習って、忘れちゃいました。  和風なデザインで、暗い色のハガキです。明るい色ペンで、一発書きです。  夜出かけるのは、危ない。郵便ポストがあるコンビニまで、自宅から徒歩2分です。おじいちゃんが車で、送ってくれました。 「おじいちゃんは、車で待ってるから、ポストに入れて来て」 「うん分かった。おじいちゃん、ありがとう!」  残念、運転席でおじいちゃんは、座ったままです。コンビニの、明るい光に照らされた駐車場。もし、おじいちゃんが、降りてくれば、店内に入ってました。お菓子の一つでも、買ってくれると思ったのに。  駐車場の隅に、ポツンと(たたず)む赤いポストに、ハガキを入れます。わたしは、足早に、おじいちゃんの車に戻ります。  おじいちゃんは、家まで送ってくれました。そのままどこかへ、一人、車で走って行きました。 「ただいま」 《お帰りなさい》  両親の声がします。家に上がれば、父と母がテーブルを挟んで、スマホを(のぞ)き込んでいます。 「わたしも見て良い?」  母が手がひらを立て、隠しています。家計簿かネットバンキングでしょう。銀行ATMみたいに、横や後ろから見れないフィルム、貼ればいいのに。 「先輩にお礼のハガキ、速達で出しておいたよ」 「速達分の切手貼ったよね?」  速達って、追加料金分、切手を貼るんだ。忘れてました。わたしは、両腕を下ろして、固まってました。 「まさか、忘れたの?」  母が目を見開いています。わたしは、(まぶた)がピクピクしますが、首を横に振ります。 「ちゃんと切手貼ったに決ってるでしょう。それより、お母さん、おじいちゃん、どこかへ車で行ちゃったよ?」 「多分、パチンコでしょう。ごめん、少しお父さんと二人だけにして」 「うん」  久しぶりにハガキをペンで書いたので、疲れてしまいました。シャワーを浴び、自分の部屋に戻れば、重い足取りで、ベッドにダイブしてしまいました。 (第一章 完)
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