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声をかけるにしても、新美先生は、ネエネエ先輩の虜の可能性大です。撃ち合い部室は、わたしを含めて三人だけです。
新美先生と、ネエネエ先輩を二人同時に、敵に回したら現実で面倒そうです。
「先生、保健室へ、先輩を連れて行って上げても良いですか?」
ネエネエ先輩がさっと立ち上がりますが、整っていた髪は無残になっています。少し可哀想になります。頬に触れてしまっている後ろ髪は、わたしが手で、背中に流して上げます。
「ありがとう、あとで自分でブラッシングするから心配しないで」
口元だけで笑みを浮かべて、わたしに顔を巡らせます。新美先生に、丁重にお辞儀をするので、わたしも吊られて先生へ、意味もなく頭を下げます。ペコペコするのは、日本の美徳です。
「監督、そろそろバイト時間なので、失礼しても良いですか?」
「もちろん構いません。お疲れさまでした。帰り道はくれぐれも気をつけてください」
良いですか? でなく、失礼しますと断言すべきです。
教師がダメと言ったら、言葉尻を取られ、主導権を奪われます。
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