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平成時代の考えの祖父
優しいおじいちゃんが、かわいいマシンガンを、そんな風に言うなんて。傷つきました。
わたしは、スクールバッグを手に、無言で床を蹴るように立ち上がりました。祖父は気難しい顔で、立ちはだかります。
「おじいちゃんは、撃ち合い部は認めない。更衣室で着替えるのが……」
おじいちゃんは思考回路が、コードで繋がっているのでしょうか。若手社員だったのは平成時代。アナログ人間過ぎです。
怒りで出ないはずの声が漏れました。
「おじいちゃんの考え、古すぎっ!」
部屋の空気が一変しました。母がソファーから、立ち上がります。
「おじいちゃんに謝って! 年長者に対する礼儀がなってない」
母に振り向きます。
「少子高齢化で若い世代が少ないんでしょう。わたしのような、若い人が大事にされるべき。言い過ぎたなら、ごめんなさい」
「おじいちゃんに謝りなさい!」
わたしは、ヤバッ自分がサイテーなヤツ、と悔し涙が頬を伝わります。おじいちゃんをスルーして、自室に戻ります。
母や祖父がドア開けようとするでしょう。ドアに背中を預けました。
「話は終ってないわよ。出てきなさい」
母のくぐもった声がしますが、後ろ手でロックを探し、手が泳ぎます。
部屋の明かりのスイッチを押してしまいました。その後、内側からロックしました。
「話したくない」
もう寝る! カーテンを手荒く閉めました。
制服のまま、ベッドで横たわります。自分が恥ずかしくて、涙が枕を濡らし、頬が少し冷たいです。
弟の声が壁越しに、放っておけば、その一言が、わたしの鼓膜を震わせます。弟への復讐心が湧き上がりました。
***
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