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「子供好きがみな、子供を産みたいと思うかはわかりません。それ以前に男は子供を産めませんから」
「それは大丈夫よ、ペッシェ。お父さまがきっとどうにかしてくださるわ。だってお父さまはこの国で一番の雄ブタですもの。きっと交配もお上手よ」
……いいえ、子作りの実績はあれど、陛下は交配初心者の、早漏、粗チンなミニブタ野郎です。
笑顔で心の声をごまかす。
「そうですね、もし陛下が私を慮り、慈しみ、大切にすると誓ってくださったら、陛下のお子を産みたいと思う『かも』しれません」
「まあ!ほんとう!? ああ、お父さまにすぐにお伝えしなければ」
姫が愛らしく顔を輝かせ、踊るように陛下の書斎へと向かった。
「リリー姫、陛下は私のことなど全く見てはおりませんよ」
姫の残り香のする廊下で、私は、ぽつり、つぶやいた。
◇
「ペッシェ!そなたに愛を誓えば、すぐに子作りをさせくれるというのは本当か!?」
陛下の私室へと呼ばれ、開口一番の戯言に私の眉がつり上がった。
「何をどう聞き違えたのか知りませんが、そのようなことを言った覚えはございません」
「だが、慈しむと誓ってくれれば、すぐにでも私の子を産みたいと思っていると、リリーが言っていたぞ」
「私を『慮り、慈しみ、大切にする』と誓ってくださったら、陛下のお子を産みたいと思う『かも』しれないと言ったまで。つまり『最低限迷惑をかけない努力くらいはしていただきたい』という意味です。陛下は私にさまざまな物を贈りつけてきますが、要らぬものばかりで非常に困っておるのですよ」
「なっ……そこまで言わずとも良いではないか……」
「言わねばわからないでしょう」
「さ、さすがに私も全く喜ばれていないことくらい、気づいてはいたよ。そこで、今日はペッシェに喜んでもらおうと、作戦を考えたのだ」
「……」
さっと私の腕を掴み、寝室に向かう陛下に、嫌な予感しかない。
陛下がいつも一人寝する大きなベッドの横には近衛兵が三人。
「彼らは私が厳選した、この国随一の男たちだ。みな、ペッシェに向かってその雄々しさを示せ」
三人の近衛兵が一斉にズボンを下ろした。
「………………」
恥ずかしそうな者、堂々とした者、様々だが、みな一様に立派なイチモツ……。
「陛下……まさか」
「私が多少心許なくても、この者達の力を借りればより良い性交体験をそなたに与えることができる」
陛下が自分の作戦に胸を張った。
「…………ふぅ。貴方はご自分が何を仰っているのか理解してらっしゃるのですか」
「もちろんだ。ペッシェがあの夜の事を覚えていないというのは嘘だろう。私があまりに拙かったため、無かったことにしようとしている。しかし、一人の力は小さくとも、力を寄せ合えば、より素晴らしい成果を上げることができるのだ」
「……左様でございますか。でしたら陛下、どうぞ彼らとお並び下さい。そして同様のお姿に」
陛下は一番左に並び、速やかにズボンを下ろした。
「陛下、これは明らかに失策です。御覧なさい。彼らと並ぶと、陛下のイチモツは……ふっ。隣の兵の玉ほどしかなく、より子供っぽさが際立ってしまいます」
「っっ……」
陛下が羞恥に頬を染め、手で自分のモノを隠した。
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