迷える二人

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「………どうして、美保ってば、そんな姿になってるのよ?………何だか、意外。」 アタシ、余りに仰天するばかりに、美保にそんな台詞を吐き捨ててた気がする。 でも、アタシ、美保にも同じ台詞を返されたの。 「………それは、お互い様でしょう?………那由の容姿だって、今は前と比べると全然、違う姿になってるじゃない。」 そう言われれば、それも、そうか………。 でも、でも、アタシ、今迄、周りに人は沢山いても、独りぼっちだったから寂しくて、心細かったから辛くて、それが、美保と再会出来た途端、安堵感が安心感へと変わったものだから、思わず、美保に抱き付いて、号泣しちゃったの。 美保は、男の子の姿を借りて、そんなアタシの身体を抱き止めてくれて、そして、二人は抱き合ったまま、暫く、時間だけが流れてたかしら………。 こんな時って、男の子より女の子の方が得してる気分がするのよね?………だって、それが男の子の役だったのなら、周りの人間からは……… 「アナタ、男の子でしょ?………メソメソするものじゃありません!」 ………だなんて、ありきたりのお説教をブチかまされるのが関の山だもの。 少し気持ちが落ち着いたアタシは、それでも、不安を隠せずにいるかの様に、美保に呟いたの。 「………ところで、アタシ達って、何時までこの時代にいなければいけないのかしらね?」 美保は答えた。 「それが分かれば、ワタシ達って、何時でも元の世界に戻れる筈よね?………ひょっとして、アナタもワタシも、この世界で、何かをしなければならない理由があるから、誰かに導かれたんじゃ無いかしら?」 「………何かって、何?」 「それは、そのぉ………。」 「何だか頼り無いわねぇ。それよか、その話し方、どうにかならない?………その格好でそんな話し方されると、オカマちゃんみたいに見えるんだけどさぁ~。」 「失礼ねぇ!………私、こう見えても、女の子なんですけどぉ?」 「………エェェェェェ!?」  「仕方が無いでしょ?………この世界で気が付いた頃から男装させられてるんだから。」 「…………………………………。」 その日、美保とは、詳しい事については、お話を出来てはいなかった様に思う。でも、此の時、アタシ達二人には、これから訪れる苛酷な運命などと言うモノは知る由も無かった………。              
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