日常

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日常

恋は、春のまぼろし。 アタシ、この年になって、初めて恋をしたの。 アタシの名前は相田那由。都内にある中学校に転校して来てから一年が経った或る日の事。その頃のアタシは中学三年生。当たり前の事だと思うんだけど、中学三年生と言えば、高校受験のシーズンなのよね? でもさぁ………。 どうして、アタシ達って、何時も大人の都合に合わせて、人生のレールを歩かなきゃいけないのかしらね。 アタシ、この世に生まれて来た理由も分からずに、そんな事さえも考える暇も無かった気がするんだけど………。 ………でも、でもね。 初めて東京の町へやって来て、心が惹かれる様な素敵な人に出逢ったの。 だけど………。 その人と言うのが、同じ中学校に通っているクラスメイトなんだけど、姿形はどう見ても女の子なんだよね。 ………そんなアブノーマルな恋愛って、アリなのかしら?それとも、それって、恋愛と言うか何と言うか、そんな感覚じゃないのかなぁ。でも、そんな相手とどう向き合えば良いと思う? 彼女の名前は、荒川美保。 東京都杉並区にある荻窪の町で暮らしている、少し垢抜けた明るい性格の女の子。でも、自分の美貌を自慢ともせずに、どんな相手にも優しく振る舞える、絵に描いた様な美少女と言っても過言では無いかなぁ。 アタシが、正真正銘の男の子だったのなら、間違いなく、告ってる筈。アタシが、こんな見てくれじゃ無かったらなんて、今更言っても後の祭りかも知れないけれど………。 でも、最初に話し掛けて来てくれたのは、彼女の方だったの。ちょっと意外。あれは、学校からの下校中の事だったかな。 「………ねぇ?」 思わず背中越しに呼び止められて、少しビックリして振り返ると、そこに美保が佇んでたの。凛々しい瞳で見つめられると、女のアタシでもドギマギしてしまいそうで………。 「………アタシがどうかした?」 アタシ、その時、思わず突き放した口調で言葉を返したのだけれど、彼女の方から唐突に優しい笑顔で、そんなアタシに話し掛けて来たの。 「………アナタとお話するのは初めてだと思うんだけど、アナタとなら、何故だかお友達になれそうかなと思ったものだから、話し掛けてみたんだけど、ダメかしら?」 彼女の言葉が余りにも唐突過ぎるものだから、アタシ、考える暇も無く答えてしまって………。 「………どうして、それがアタシなの?むしろ、アナタとお友達になりたがってる人の方が沢山いるかも知れないのに。アタシなんかで良いの?」 ………アタシの馬鹿、馬鹿、馬鹿! どうして、そんな憎まれ口を叩いたのかしら。大人しく、素直に頷けば良かったのに。 でも、その時、彼女はこう呟いたの。 「何故だかアナタとは初めて出会った気がしないのよね。過去の世界で一度出会った気がするの。アナタは何か感じない?」 過去の世界でって言われても………。 今のアタシの人生の中でも、三年前の出来事なんて殆ど覚えてもいないし、生まれて来る前の記憶と言うか何と言うか、そんな事を思い出す時間すら持てなかったと言うのが事実かも………。 ………輪廻転生。 ………リ・インカネーション。 言葉にすれば色々あるけど、今一信憑性に欠けるのよね。それに第一、生まれ変わらなければならない理由が、アタシにあるのかしら?でも、誰かが生まれ変わったから、アタシの今が存在してる訳で………。 ………生まれる前の記憶。 あの夢を見始めたのは、そんな事を気にし始めた頃の事だったかしら? ………夢って言うと、アタシ、アナタに一度聞いてみるんだけれども、アナタの場合って、夢を見ている時のアナタって、夢である事が認識出来てるのかな? 別のアナタに聞いてみるわね………。 夢を見ている時のアナタって、何時もと変わり無いかな?………見た目とかって言っても、第一、鏡を覗き込んだり出来るとも限らないけれど、性別とか人種とか性格とか。後、環境の変化に気付く事ってあるのかしら? 例えば、………普段とは生活観が違うとか。 与えられた境遇が何処か違ってて、現在、自分がしている事なんかに違和感を感じてしまってるとかってヤツ?
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