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虹の彼方へ…
「………あっちに行っても、元気でね。」
「………えぇ。………有り難う。」
「………たまには、連絡ちょうだい?」
「………えぇ。」
その時、思わず、アタシ達の脳裏に平安時代の記憶が過ったの………。
アタシは呟いた。
「………結局、………あの時代って、………何だったのかなぁ?」
美保は答えた。
「そう言う時代だったのよ………。」
その時、アタシ達の間を、つむじ風が通り過ぎて行ったの。
「………やっぱり、那由が安徳天皇だったのね?」
「でも、今のアタシは、………相田那由だよ!」
思わず、アタシは美保に囁いたの。
「………ねぇ、アタシ達、必ず現世では、今度こそ、幸せになろうね?」
「ワタシは今でも幸せよ。………だって、ワタシの傍らには何時も、那由がいてくれるから。」
「…………………………………!」
その時、アタシ、唐突に閃いたの。
美保とアタシの姿形に宿って、平安時代から情念を背負って、平成の世の人間社会に輪廻転生する事を許されたのかしらって………。
それって、天国からアタシ達の平和を願ってくれている神様からの細やかなプレゼント?
………まさか、そんな事って無いわよねぇ!?
ふと、アタシ達は空を見上げた。
空には、七色に輝く見事な虹が、空の彼方へと掛かっているのだった………。
《 完 》
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