宇宙人の気持ち

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ある日、宇宙警察のスペースシャトルが、囚人を護送中に時空の狭間に入り込んでしまい気がつくと見た事もない星に接近していた。 もはや星の重力をはねのけるほどの推進力が残っておらず、やむなく船長のギルバートは苦渋の決断を強いられた。 「不時着しよう」 「船長?本気ですか?こんな未開の星に?なんの情報もないんですよ」 船員のジョナサンが異を唱えた。 「未開かどうかは調べてみないとわからん。それにもはや燃料が底をついているんだ。いたしかたないだろう?着陸態勢に入ってくれ」 「了解、とはいえ着陸できる陸といえるものがあるかどうかもこれから調べるんですけどね」 ジョナサンは軽い皮肉を言ったがその後の行動は素早かった。 「船長、二時の方角に細長い陸地の様なものが存在しています。成分的には砂に近いですが着陸可能な強度があると思われます」 「では頼む」 「了解」 「流石はカモメだな」 カモメとは宇宙一等航海士の俗称である。 宇宙を自由に飛べるという意味があるらしい。 「次のボーナスを期待してますよ」 「地球(ふるさと)に、帰れたらな」 船長のギルバートはそれだけ言うと船内全域に届く様に胸元のマイクをオンにした。 「敬愛なる乗務員の皆さん。ご機嫌ようギルバートだ。本機はこれより不時着を敢行する。全員衝撃に備えてくれ」 それだけ言うとまた目線をモニターに落とした。 緑色に広がる何かが渦巻いていた。 知的生命体が存在するとは思われないなと漠然と思った。
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