その2

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 彼女らが明るい感謝の声を一斉に上げましたので神様はいつになくお心が浮ついてウキウキとなさいました。けれども神様は威厳を保とうとされまして敢えて、お顔を引き締め、「よし、さて、我が愛車はどうなったであろうのう。」とおっしゃってマイスポーツカーの方を御覧になりますと、男が濡れたボディの水分をタオルで拭き取っていました。 「おう、感心、感心。」  御満足になられた神様は、田畑を下賜される為に不要になった商用車を神業でお消しになり、男の住所や女たちの親元の住所をお聞きになってメモされた後、お礼を言う男と女たちに見送られながら、お前いい思いをしたな、お前に取って代わりたかったぞと羨ましく思うマイスポーツカーで帰ってゆかれました。
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