その5

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「まあ、わしは決してサナエちゃんを罰する気はないんじゃが、サナエちゃんのためにちょっと説教めいたことをするが、よいかな。」 「はい、神様。」 「まあ、サナエちゃんみたいに綺麗に生まれつくと、どうしても男がうじゃうじゃ寄って来るわけなんじゃが、残念ながら真の愛を持っておる者は中々いなくて中にはタメゾウのような悪い奴がおって、あんなもんに引っ掛かるといかがわしい世界に染まることになっての、金は儲かるかもしれんが、折角の綺麗な心が台無しになってしまうのじゃ。そうなると本人はその気でなくても金が第一と考えてしまうようになり、金のためならハレンチな真似が羞恥心を等閑にして脆くも出来てしまうことになるのじゃ。恥を恥とも思わなくなる状況に陥るのじゃて。そうなったら女としておしまいじゃ。実に情けないことじゃろ。」 「はい、神様。」 「嘆かわしいとか、はしたないとか、そんなどころの騒ぎじゃないよ。酷いもんじゃて。実際、そういう女が急増しておるからな、サナエちゃんがそんなのになったら、わしゃ悲しくて堪らんよ。まあ、幸い、早くサナエちゃんが見つかって良かった。のうサナエちゃん。」 「はい、神様。」 「そもそも金を儲ければ儲けるほど成功したと思い、それを幸福とする成功主義がいかんのじゃ。本来、幸福とは徳を積むことで得られるものなのじゃ。だってそうじゃろ、上に立つ者が徳を持たなければ政治が腐敗して皆が不幸になるし、皆が徳を持たなければ皆が腐敗して皆が不幸になるじゃろ。」 「はい、神様。」
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