その5

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「現に古代中世のモラルの中心が幸福であったのに現代はそれが成功になったもんじゃからタメゾウみたいな不道徳な人間が幅を利かす訳であってじゃ、そのタメゾウの誘惑に負けたサナエちゃんみたいに幸福になる為に徳を積まずに給金が良いからって娼婦として金を稼ぐというのは本末転倒なんじゃ!分かるかな。」 「はい、神様。」 「まあ、先立つものは金、それは分かるが、過ぎたるは猶及ばざるが如しで金についても中庸の徳を心得るべきなのじゃ。何せ、隴を得て蜀を望むと言って人間の欲には際限がないのじゃから金が有る方を望んでいては金が幾ら有っても足るを知ることが出来ず心が貧しくなるばかりで安んじれず清くなれず欲に塗れ堕落するのが落ちじゃ。分かるかな。」 「はい、神様。」 「まあ、兎に角じゃ、経済力は必要なだけありゃあいいんで肝心なのは徳を積んだ者にしかない真の愛を持った男を探し求めるべきなのであってじゃ、わしがその男としてサナエちゃんに推挙するのがケンキチなんじゃ。」 「はい、神様。」 「どうじゃ、ケンキチに会いたくなったかな?」 「え、ええ・・・」 「流石に即刻はい、神様とは申せんか?」 「は、はい、神様。」  ここにおいてサナエの顔が赤い薔薇のようになりましたので神様はガッハッハッハ!と豪快に大笑いされました。
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