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その2
神様は今日も今日とて土手下の川岸で釣りを楽しんでいらっしゃいます。
「痛かったであろう、痛いの痛いの飛んでけ~!」
そうおっしゃりながら神様は釣り針で出来た鮒の口元の穴をお撫でになりますと、穴がふさがって痛みがなくなりましたので鮒は川に放してもらう前に言いました。
「神様、餌、おいしかったです。また、神様に釣られてみたいです。」
「うむ、うむ、うい奴じゃのう。」
神様は魚とも会話を楽しまれるのです。それから川へ帰って元気よく泳ぐ鮒の姿を如何にもお優しそうに目を細めて眺めていらっしゃいますと、土手上から何やら黄色い歓声が上がっています。
「なんじゃ、あの騒ぎは?」
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