Magic Chocolat 1
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Magic Chocolat 1

キーンコーンカーンコーン。今日もチャイムの音はムダにビブラート百点満点だ。その音を聞きながら机の上の教科書その他諸々をカバンに詰め込んでいると、後ろの席に座っている璃子りこちゃんが私の肩を軽く叩いた。 「ねぇ、星波せな。今日も魔法千代古令糖まじっくしょこらに寄って行ってもいい?」 「もちろん。シンさんも喜ぶよ」 魔法千代古令糖というのは、私の家の近くにある、昔ながらの和風建築をリノベーションしたお洒落なチョコレート屋さん兼カフェのことだ。店長のシンさんは、度々雑誌でも取り上げられるイケメンショコラティエで、私のお兄ちゃん的な存在でもある。 そんなこともあって、私は高校に入学してすぐから、魔法千代古令糖でアルバイトをしている。 中学2年生の時に転校してきた璃子ちゃんは、一緒にお店を訪れた時、シンさんに一目惚れ。あの日から、放課後は魔法千代古令糖に寄り道するのが毎日の日課になっている。璃子ちゃんはシンさんに、心底恋い焦がれているのだ。 「どうしよう、緊張して来た」 ピンク色の頬に両手を当てて、小さく呟くその様はまさに恋する乙女そのもの。 誰がどう見ても美人としか言いようのない綺麗な顔、すらりと伸びた長い手足、お手入れの行き届いたさらさらロングの髪。こんな可愛い子に好きになってもらって、嬉しくない男なんているのだろうか。私だったら、嬉しくて完全に舞い上がってしまうと思う。 そんな美人さんの璃子ちゃんは、告白をするつもりは全くないそうだ。断られたら気まずくなって、もう2度と会えなくなってしまうから。という理由らしい。分からなくもないけれど、璃子ちゃんがフラれるわけがないと思うんだ。うん。
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