隣の芝生は青い

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「鈴木くん、今日からまた宜しくね」 いつから、そこにいたのだろうか? これまた中学の時のクラスメイトの、前野朱音がいた。 前野朱音はめちゃめちゃ小柄な女の子で、高校生になった今でもお子様ランチを食べられたり(お子様ランチはほとんどの店が小学生以下限定)、こっちが黙っていれば、電車だって子供料金で乗れるような女の子だ。(そんなことはしてはいけない) そう考えると、小柄な体型も悪くないと言える。 確かに天王寺みたいに背が高ければ、満員電車の中でも、人々の頭を見下ろしながらキレイな空気が吸えるし。スタイルも良く見られる。 脚立なんて無くても高いものが取れるし。バレーボールやバスケットボール部からもスカウトが来ること間違い無しだが、前野みたいに小さければ、いつまでも若く見られるし、逆に高いとこに背が届かなくてピョンピョンしている姿を想像すると……可愛すぎる。 いや、それは前野が女であるからの特権では無いだろうが……。 小柄な男がピョンピョンしている姿は……いささか不気味だ。 「鈴木くん?」 黙っているオレを怪訝に思った立花が首を傾けた。 肩までの揃った黒髪。 丸くて大きな真っ黒の瞳。 可愛すぎる……、何でも言うことを聞きたくなってしまう。 あ、誤解せずに言っておくがオレは別に彼女の事を好きな訳ではない。 オレが好きなのは……。 「あ、あそこ歩いてるの森久保じゃないか?」 天王寺の一言にはっとする。 天王寺の視線の先にいたのは、腰までの長い栗色の髪をなびかせて、スカートから見える足の細さ、華奢な体型なのに出るとこはちゃんと出ているモデル体型で優雅に歩いている、森久保夏音がいた。 彼女の姿に心を奪われてしまう。 ああ、神様、僕の一番の願いは彼女でした、彼女と恋人にしてください。 
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