隣の芝生は青い

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決して自分の手には届かない女子。 あまりにも美しく可憐なその姿。 それが森久保夏音だ。 (オレに手が届く女子なんてこの世にいるのだろうか?そこまで悲観的になるのもどうかしてる!自分で思うほどオレだって悪くないかも!) 「あー、鈴木、森久保に見とれてるー!」 イケメン天王寺が声を張り上げて茶化した。 (おいおい、そんな大きな声だしたら森久保に聞こえちゃうだろう?わざとかわざとなのか?イケメンは何をしても許されると思っているのか?) いささかムッとはきていたが、怒るまでいかなかったので、天王寺の言葉は受け流したのだが。 だが、しかし、畳み掛けるような前野の言葉。 「えー、鈴木くんって夏音の事が好きなのー?無理無理、絶対無理に決まってるじゃん!女の私から見ても憧れの存在なのに。天王寺くんならまだしも!」 この世は残酷だ。 悪意の無い前野の言葉が胸に突き刺さる。 悪意が無いので余計なのかもしれないが…。 生まれもってのルックスでこんなにも差別されなければならないのか? イケメンや美女など人類全体の1割ぐらいしかいないと言うのに…。 それ以外の人間はどうしたらいいと言うのか…? 「まぁ、何はともあれ私は鈴木のこと嫌いじゃないよ」 え? 黒い瞳をくりくりさせて立花がオレを見上げた。 さっきどん底まで落としたオレに今度はこんな告白。 彼女の真意は分からないが、 「早くしないと遅刻しちゃうよ」 前野がオレと天王寺の手を取って走り出した。 あー、神様、女と言う生き物、僕には全く理解できません。同じ人間と言う以外の共通点を僕に教えてください。
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