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びくりっと彼が目を丸くしたので
わざと怖い顔で
口をパクパクして動きで言った
なぐさめて!!
「う・・・・うむ・・・・
実に上手いコーヒーだ 」
英明がいかにもといった感じで
コーヒーを啜った
「ほんと? 」
ぱっとヨシノの顔が明るくなった
「ほらね彼もそう言ってるでしょ?
ただ・・・このコーヒーは
いつ立てたの? 」
「そんなの決まってるわ
朝オープンした時よ 」
ヨシノは鼻をすすり
当たり前じゃないとばかりに背筋を伸ばした
「コーヒーは煮詰まると
とっても濃くなって苦味が出るのよ
だから・・・
そうねお客さんが来てから1杯ずつ入れる
ほうがいいのではないかしら 」
「それじゃ時間がかかってしまうわ 」
みゆきは自信がある声で言った
「美味しいコーヒーを飲みたければ
少しは待つ方がいいのよ
それに・・・・
私がいた町ではカフェマシーンが1杯ずつ入れていたわ
そういうシステムだとわかるとみんな
待ってくれるものよ」
ヨシノはポカーンとした顏になった
でもすぐに明るい表情になった
「そうね・・・そうよね!
入れたてのコーヒーが美味しいのは
みんな知ってるものね
そっか!
煮詰まってまずくなってるのね!」
「そうそう!」
ちらっと英明を見ると感情を隠した
黒い瞳の端でこちらの様子を
伺っているのを感じた
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