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「薔薇園まで歩いてきたのか?」
英明が運転しながらみゆきに聞いた
昨日の戦車みたいな車とは変わって
今日彼が乗ってきた車は
銀色のメルセデスベンツだった
シートベルトを閉めているみゆきの
お尻の下で皮のシートの感覚が心地良い
車の振動もまるで走っていないかのように
静かで快適だった
この高級外国車は完璧だわ・・・・
みゆきはひそかに昨日の戦車のような
SVR車では背の低い自分が乗り込むのは
大股を開いて大変だろうなと思っていた
どうやら彼は何台も車を所有し
確かに牧場ビジネスで成功を収めた
人なんだと思った
そしてもしかしたら彼が今日このベンツを選んだのは自分を乗せるためなのかもしれない・・・
そう思うと嬉しくなった
「そうなの・・・
ちょっと散歩してみたくて・・・
でも帰りは薔薇園で降ろしてくれたら
ご迷惑は――― 」
「俺が家まで送る 」
話はそれで終わった
きっと自分が車の運転が苦手なのも
この無口な牧場主にはすっかり
お見通しなのかもしれない
みゆきは彼の気遣いに感謝した
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