22人が本棚に入れています
本棚に追加
第6話 清元の苦悩
梨姫を乗せた輿が江戸の金崎藩邸へと出発した。清元は1人で考え込んでいた。
(梨姫を嫁がせて良かったのだろうか…でも仕方がなかったのだ。我が娘を嫁がせることは約束だったのだから)
清元は頭の中で実の妹にあたる百合姫を思い浮かべた。
(きっと百合は鶴長殿の立場を安定させたいのだ…そして縁者の者の方が自分達の味方になりやすい…だから我が家の姫を…)
清元は頭を抱えた。
(梨はどこか自分の気持ちに正直すぎるところがある。それが災いしないといいが…
あぁ!のびのびと自由に育てすぎたのが悪いのだ。我が家の生活が他の武家では通用などしないのに…)
清元は我が子、梨姫が心配でならなかった。
最初のコメントを投稿しよう!