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仁奈さんの希望通り、近くのそれなりに栄えてる駅まで行って、アイスクリームのお店にやってきた。すぐにどれを食べるか決めた僕は、どれにするかを真剣に悩んでいる仁奈さんをじっと見てる。
肩にかからない髪の毛が綺麗だ。最近受験のためにって黒に戻したけど、僕は少し色が抜けてる方が好きだ。何事にも真剣に向き合うその切れ長の目が好きだ。女性にしては低くて艶っぽい声が好きだ。表情豊かな仁奈さんが、仁奈さんが好きだ。
どうして言えないかな。
「渉くん決めた?」
「もうとっくに」
「待たせてすまないね。私も決めたよ」
憎まれ口しか言えないなら声帯を取ってしまえ渉。交渉の渉という字の似合わなさ尋常じゃないぞお前。
アイスを食べながらも、喋る仁奈さんに下手くそな相槌しか打てない。
「チョコミントとか、よく食べれますね」
「この美味しさを知らないとは、まだまだ子供だね渉くん」
「ずっと子供で良いです」
誰か僕を殴ってくれ。
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