チョコミントを好きになった理由

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 好きな人ができた。  その好きな人に好きと言われた。  これはどれくらいの確率なんだろう。奇跡と言っても過言じゃない。この先の幸運をすべてつぎ込んだんじゃないかってくらいだ。  なのに僕は「別に、嫌いじゃないですけど」としか言えてない。なんだ別にって。嫌いじゃないですけどなんだよ。けどの後に続く言葉はなんだよ。仁奈さんが良い人じゃなければ今こうして恋人関係にもなれてないぞ。調子乗りやがって。  今日こそ、今日こそは、せめて褒めたり、何か、好意的なことを。何回目の決意なんだこれ。もう四ヶ月も経ってるのに。  仁奈さんは受験生なんだから、会えなくなる時間だって増えてくる。言える時に言わないとだ。わかってるのに何やってんだ僕は。  ああ、帰りのホームルームも終わった。もうすぐ仁奈さんが迎えに来る。そもそも僕から迎えに行けよ。いや、いつもあっちの方が速いんだけどさ。 「渉くん、帰りにアイス食べに行こう」  ほら、終わるの待ってたみたいな速さだ。 「おい渉、愛しの仁奈先輩がお迎えだぞ」 「ヘイヘイヘーイ渉、熱くてアイスとけちゃうよ~」 「うるせ」 「こらこら君たち、あんまり茶化さないでくれよ。私が照れちゃうだろ」 「先輩、あんな奴じゃなく俺とお付き合いってえ!」 「行こう、仁奈さん」 「暴力はいかんよ渉くん」 「鞄が当たっただけです」  五キロ相当の鞄がね。
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