Prologue

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Prologue

 かつて麻薬王と呼ばれた男が残した財宝が南米のチリにあると言う。それを見つける手掛かりはただ一つーー彼が愛したとされる「ニケの女性」である。  彫刻のサモトラのニケのように美しいと讃えられ、そう呼ばれるようになった。  麻薬商の間ではその財宝は次なる麻薬王となるための証である、と噂されている。多くのカルテルはそれを求め、チリを目指した。  だが、未だ誰もその財宝を手にする者はいない。  あるブードゥー教の預言者はこう言う。  ーー我らと相反する者がその財宝を手にするだろう。そして、麻薬王の軌跡は永遠に失われるだろう。  カルテル達はその予言を信じなかった。故に彼らはその財宝を永遠に失う羽目になった。
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