2人が本棚に入れています
本棚に追加
/61ページ
音の性質からして軍だろう。
シカリオなら足音を気にしない雑な歩き方をする。だが、これは足音がズレていない。
軍人の場合、足音を揃えることで人数がばれることを防ぐためでもある。こうして足並みを揃えられてしまうと俺達ですら人数を把握することはできない。
いつ攻撃を受けるか分からないが、取り敢えず先に進む。
曲がりくねる道を進んでいくとようやく明かりが見えてきた。
「ふん。着いたらしいな」
そこは天井に空いた穴から太陽光が差し込み、神秘的な光を放つ地底湖があった。あの空いた部分から雨が地面に溜まって出来た湖だろう。不純物が少ないせいか、かなりの透明である。
エリアスは地面から突き出ている鋭い岩に近づいた。若干輝いているのが気になったらしい。
「これ、水晶だと思います。宝石は磨くことによりあの耀きを出しますが、これは雨風によって自然に磨かれたものですね。これだけで相当の値打ちはします」
「財宝はこれか。ここにある物を全て売れば一生金に困らないな」
ただこれが財宝か、とは判断しにくいんだよなぁ。
「あの、皆さん」
散策していたアンネが何かを見つけたらしい。
それは地底湖のすぐ近くにある石の台座にあった。近寄ってみると乱暴な彫り形で文章が刻まれていたが、達筆過ぎて読めない。
ここにある碑文ってことはゴーゴンが残した文章だろう。
「——解析もしたいが、最後の仕事をしよう」
最初のコメントを投稿しよう!