Episode.4 FINAL EDITION

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Episode.4 FINAL EDITION

「つまり俺達は無駄足だったと言うことか」  天井から水が滴り落ちる洞窟でファントムは憤りを隠せていない。鳥肌が立つほどの殺気を漂わせながら、銃に取り付けたライトで照らしながら進む。  ファントムの意識が戻り、俺達は村長から聞いた話を聞かせた。最初は複雑な表情を浮かべ思考が停止していたが、やがて「ぶっ壊す」と宣言した。まだ傷が癒えていないって言うのに行動しているのはそういう理由だ。  ここに来るまで物資も多く失い、死にかけた。  ふと思ったが、もしかすると灰かぶりは最初から財宝の正体を知っていたのだろうか。 「はぁ~後で経理に文句言いましょう」 「文句という名の交渉じゃないのか。俺達の今回の損失は灰かぶりにも非がある」  二人の会話が怖い。  あの堅物でけちばかり言う経理に喧嘩を売るつもりだ。でも経理のトップってキャサリンじゃないのか。どうせ丸め込まれるだけだろ。  そういやぁ、集落についてからやけにハンコックが静かだ。何か食ったのか。  あいつは別に腹を下して痛いわけではない。この洞窟内に僅かに響く水滴音と足音を聞き分けているだけだ。  洞窟内に響く足音は本来なら五人分。  しかし極低音で複数の足音が聞こえる。響かないように注意を払っているようだが、俺達にそんなものは通用しない。音が響きやすい場所での任務は既に色々と経験済みなので、そんなことぐらいは聞き分けられる。
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