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「キリキリキリキリキリキリキリキリ……キリキリキリキリキリキリキリキリ……」
三人には聞こえない奇怪な音を口から漏らしながら、狂鳴人は足を一歩一歩踏み込む。サトルは木刀を顔の前で構え、狂鳴人を睨みつけた。
「大雅さん、鈴村さん、今のうちに自転車に乗って逃げてください!こいつは……俺が引き受けます」
「引き受けるって……お前、無謀過ぎるやろ!東京の妹に会いに行くんやろが!こんなとこでお前……」
「わかっています……。死にませんよ……俺は!さぁ、早く行ってください!」
サトルが叫ぶと同時に、心配そうに見つめる大雅と鈴村は自転車に跨った。運が良いことに鍵は掛かっていない。
「絶対に死ぬなよ!」
大雅のその呼び掛けと同時に二人は自転車を漕ぎ、商店街の出口を目指す。
二人が離れて行くのを背中で感じたサトルは、呼吸を整えながら神経を集中させた。
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