第五狂 初めテの戦闘

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『何をしてるんだ俺は……。今のこの世界じゃ、隙を見せた瞬間に死ぬってのに……』 動かなくなった狂鳴人の服装をよく見ると、高級なブランドで固められている事に気づく。うつ伏せで倒れる姿は、普通の四十代の女性にしか見えない。 「あなたも……二年前までは普通に家族が居て、友人とランチに行ったりしていたんですよね……」 サトルはそう呟いた後、肩を震わせながら涙を流した。頬を伝う涙を袖で拭き、木刀についた血をジーンズの裾で拭き取り、商店街の出口に向かって走り出す。 『こんな事でショックを受けていたら、俺は生き残れない!もっと強くならなきゃ……』 サトルが商店街の出口を抜けて交差点に出ると、大雅と鈴村は何故か商店街の方へ戻ってきていた。 「サトル、良かった!お前……無事やったんやな!」 大雅が目に薄ら涙を浮かべて手を振る。鈴村もそのすぐ後ろで嬉しそうな笑顔を浮かべている。 「大雅さん、鈴村さん!」 自転車に跨る二人に近づくサトル。
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