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あたたかな日々
休日、椅子に座って本を広げると何かが頭に触れる。驚いて顔を上げれば奇子がいた。
「背の高い男性は、普段撫でられることないから撫でるといいと聞いたので」
奇子はその名の通り好奇心に目を輝かせながら、再び俺の頭を撫でる。
まぁ、確かにこれも悪くねぇ。だが、物足りない。
「悪くねぇがキスがいい」
「えっ……」
赤くなる奇子にお構い無しで目を閉じると、一瞬だけ唇に温かいものが触れた。
目を開ければ奇子はさっきよりも赤くなっている。自分からキスをねだるわりに、自分からしない理由はこういうことだろう。
「お前は本当に初心だな。ちゃんとキスしてくれよ」
手本がてら、触れるだけのキスをしてやる。本当は啄むようなキスが好きだが、今の奇子にそれを求めるのは酷だろう。
俺からのキスが終わると、もう一度目を閉じる。今度はまともに唇が押し当てられた。
目を開ければ、奇子は耳まで真っ赤にして目を逸らしている。
そんな奇子を抱きしめる。
「よく出来ました」
幼子をあやす様に言うと、啄むようなキスをした。
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