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「大丈夫でしょう。屋根裏まで来ないでしょうから」
「でも、そんなっ、いるかもしれないわ」ルーシーが首を振った。あきらかな恐怖が見て取れる。ジュリアは、友人の繊細な神経に気遣い、安心させるために微笑んでみせた。
「大丈夫。大丈夫だから」
「でも――」ルーシーは上掛けをつかんで、とうとうもぐりこんだ。
「そうね。実際はわからないわ」ジュリアは首を横に振り、声を落とした。
「だって、見たことがないのだから」
ジュリアはなおも言った。
「わからない、そんなの」それは、どこか、弁護士クレイグに問い詰められたブラッドリーを信じてあげたい心のあらわれだったのかもしれない。
「なんでも憶測で決めるなんておかしい……実際に見てみないと」もう一度言った。
「この目で確かめてみないと」
「もうやめましょう」ルーシーが懇願する。「こんな話をしていたら、来るんじゃないかしら」
怯えきったルーシーにさらなる不安の圧力をかけたくなくて、ジュリアは話を打ち切った。今夜は答えを得られそうにない。
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