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「その娘はどうなんだ」
正直に疑問に思ったらしい言葉使いだった。
ジュリアは、はっとして顔をあげた。そのとき、はじめて客人をしっかりと見た。
暗い色の髪はふんわりと後ろへ流し、秀でた眉の間には鼻がまっすぐ通り、唇は無駄な話をしないと拒絶するかのように、きゅっと閉じている。溝の入った顎、髭をそったばかりの肌、角ばった輪郭、全体から常に何かを考えている気難しい感じがする。
それよりも、一度見つめあってはおしまい、それほどに魅力的な瞳。
瞳は、この世のものとは思えないほどに透き通った青色だった。ジュリア・アトリーはうまれてはじめて、そのような瞳の色を見た。
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