0人が本棚に入れています
本棚に追加
/1ページ
この話は実話ですが若干の脚色をしてます。
会社名や場所等は脚色してますが有った出来事は本当の事です。
私は30歳の頃に係長研修で東北のある県に10日間研修に行きました。
東京以北より色々な人が集まった研修でした。
研修内容は商品の売り上げ相違、売り上げ高、損失高、人口に対しての売り上げ%の算出等多岐に渡る研修で、会社でもの厳しい研修とと言われて居ました。
全員が寮生活で、寮は4人一部屋でした。
土日を挟んでの10日間研修。
研修は毎日宿題が出ます。
例えば『新入社員をどう教育するか』等レポートを作成しなければなりませんでした。
やっと1週間が過ぎて金曜日。
この1週間で友達も増えて女性達はレンタカーを借りて東北の観光地に行っり、金曜から家に帰ったりしました。
広い寮に残ったのは私を含め3人だけだった。
私を含め男性の3人!
年齢的にも近い3人!
研修所は辺鄙な場所、チョットした町迄バスで20分。
ジャンケンで買い出しが決まった。
仮にH君としておこう。
みんなが千円づつ出し合ってH君は買い出しに行った。
買い出し中の中、担当教官が来た。
「私も家に帰るのでこの敷地には君達3人だけです、何か有ったらここに電話をして下さい、また、火の元だけは充分に注意して下さいネ!」
教官は部屋から出たが即座に戻って来た。
「風呂は10時迄に入って下さい、それから出入り口のトイレは使わない様に、自室のトイレを使って下さい」
「あの~風呂は24時間入れんじゃ無かったんですか?」とA氏が聴いた。
「今日から日曜日までは夜間は10時です!」と教官は少し語気を強めて言った。
「この寮には君達3人しか居ませんので、申し訳無いですが、廊下の電気は半分を消しますから!」
「なにぶん、経費節約ですからね~~」と教官は言って帰って行った。
ポッポッと廊下の電気が消えて行った。
半分とはいえ、廊下は薄暗く、ヤヤ不気味な感じ!
小一時間してH君がビールやウィスキーと缶詰め等を買って帰って来た。
「あの~廊下が凄く暗いんですけど?」とH君が少し不満顔で聴いて来た。
私は教官が言った話をH君に言った。
時間を見ればもう9時近い時間!
「あのさ~風呂に先に行かない?」とA氏!
「そうですね~~火を落とされると嫌ですから先に風呂に行きますか!」と私。
3人連れ立って敷地内の風呂施設迄行った。
東北の秋は早く外に出ると、少し寒かったのを覚えて居ます。
風呂を出たのが午後9時半頃!
ポカポカ温まり3人は私の部屋に入った。
私の部屋は一番端っこ!
よって私の部屋の隣非常階段は無く、壁になって居た。
風呂上がりでビールやウィスキーを呑んでた3人。
午後11時近い時間!
私の部屋のドアは開けっぱなし状態。
私は自分の机の椅子に座り、私の机が宴会の場所、よって後の2人は机を囲む様に座った。
午後11時半それなりに酔って居た3人。
A氏が少し酔って汗をかいて居た。
午前0時「俺チョット風呂に行ってお湯だけ浴びてくる」とA氏。
「でも・・・風呂は10時迄ですよ」と私!
「大丈夫だよ、あのデカイ湯船はチョット冷めて居るけどまだまだ大丈夫だと思うよ!」とA氏が言った。
A氏はそのまま風呂の有る敷地に行った。
私とH君はそのまま呑み続けて居た。
私は部屋の位置は壁側に座って居た。
H君は私の隣、今風呂に行ってるA氏はH君の横。
私とH君からは開けて有るドアが見えて居る。
A氏はドアを背に座っている状態。
何かしらとても嫌な予感がした。
第六感・・・って人間には有るんですね!
H君も矢張り変な感じを受けて居た。
なんだかわからないけど2人は顔を見合わせて居た。
「あの・・・Rさん・・・なんか・・・変な感じがしませんか?」
「ウン、そうだよね~~なんだろ?」
「うわぁ~~」H君が突然叫んで椅子から転げ落ちた。
「なんだ?」と私。
「アレアレ!」とH君はドアを、指差した。
『 ドアの一番下から顔半分がこちらを見てる! 』
私も「うわー」悲鳴にも似た声で叫んだ。
あの位置だと顔は寝そべっている感じ。
でも顔は全面半分!
寝そべって居るのではありません!
顔が正面を半分出して居ました。
それもドアの一番下でした。
あまりの出来事で顔が男性か女性かもわからない程の恐怖だった。
顔はそのまま数秒で消えたって言うより、スッ~と横に移動した感じだった。
もう2人はガタガタ震えて居た。
「みみみ見間違いじゃ無いですよね~~Rさん」と歯がカチカチと噛み合わないH君。
「イヤ、確かに顔だった」と矢張り上手く喋れない私。
程なくA氏か風呂から帰って来た。
A氏が「イヤ~サッパリした」と言って部屋に来た時も2人は軽く叫んだ!
「な~に?どうしたの?」とA氏。
もう、話すのも怖い2人。
A氏か頭を拭きながら「あのさ、変なの・・・俺が風呂に行ったらサァ・・・先に座ってシャワーを浴びてる人が居るだよね~、俺サァ、こんばんは、って挨拶したけど振り向きもしね~のよ!まったくよ」
私達はA氏に今部屋で有った事をガグガク震える声で話した。
「そんな訳無いっしょ!見間違いだってばよ」と呑気なA氏!
「イヤ、絶対見間違いでは無いっす」と2人。
H君がすかさずA氏に言った。
「Aさんの風呂の話も変ですよ・・・教官はこの寮内は今日から日曜日迄は3人きりだって言ってたでしょう????」
そこで初めて顔が青くなるA氏。
その晩は私の部屋で3人一緒に寝た、勿論ドアの鍵を閉めての就寝でした。
壁を叩く音、ラップ音やらで、恐怖で3人共に寝付けませんでした。
そして土曜日朝が来た。
この3人の為だけに食堂のマスターが来て居た。
朝食は鮭の塩焼きと納豆と海苔、後はご飯と味噌汁と言った至ってシンプルな物。
A氏がマスターに聞いた。
「あの~この寮で泊まっているのは、他にも居るんですかね~~?」
「インヤ、アンタ達だけだよ!」
「アッ・・・出たんか?」とマスターが少し驚いて聴いて来た。
3人は「やっぱり!」の顔をした。
A氏がマスターに詳しく聴いた!
「アレはかれこれ10年前くらいでしたかね~~!この研修に付いて来れなくって自殺した人が居るんですよ・・・・エエト、ほらアンタ達が泊まっている寮の下に墓碑が有りましてね~~!」 とマスターの話。
ここまで聴いて3人は奥歯がカチカチとなり顔から血の気が引いた。
そんな顔の私達を見てマスターは「イヤイヤ、なんも悪さはせんですから!人恋しいんでしょうかね~~」と言ってのけた。
マスターの話を聞いて昨夜の事が錯覚では無く確信に変わった。
食事も進まない3人。
H君が「私、今晩はこの寮に泊まる気がしません・・・町に出て旅館でもビジネスホテルでもいいですから、そっちに行きます」と震えながら言った。
勿論、私もA氏もH君の意見には賛成した。
マスターは「この後、夕飯は弁当を作ってここに置いときますから!」と言って居た。
午後、私達3人は弁当を持ってバスに乗り町のビジネスホテルに宿を取った。
後にも先にもこんな怖い思いは初めてでした。
日曜日には散々午後みんなが帰って来た。
教官も帰って来た。
教官に金曜日の夜の事を話しました。
矢張り、マスターと同じ事を言ってましたね~!
そしてまた1週間が始まって寮内はワイワイガヤガヤとうるさかったです。
私達3人は翌週の金曜日に脱兎の如く家に帰りました。
この話は前段に言いましたが、場所や内容は脚色してあります。
でも、この話を読んで、同じ会社で同じ場所にて研修を受けた人は『ピン』と来るはずです。
ー 実話 お終い ー
最初のコメントを投稿しよう!