3時に彼奴は

1/1
前へ
/1ページ
次へ
3時になると彼奴は暴れだす。 午前か午後か? そんなもん決まってやしない。太陽が出ていようが、赤い月が妖しく夜道を照らそうが彼奴には関係ない。 彼奴は吸血鬼でも人狼でもないんだから。 なら彼奴とは人間なのかだって? 馬鹿言っちゃいけねえよ。 人間ならそんなもんすぐにお縄よ。彼奴が現れて半年、白昼堂々での犯行もざらにあっただろ。 つまりマッポなんざ手に負えないってわけよ。 そこでだ。脛に傷を持った奴らが1枚噛みに群がるわけよ。政府に取り入ろうする連中、逆に彼奴を取り込もうとした奴らなんてのもいたな。 そこでよ、腕のいい殺し屋、特に扱いきれてねぇ狂犬を彼奴に吹っかけるのよ。 ところがよ、裏の世界でさえ都市伝説になるような曲者たちがよ、全員返り討ちに合うわけよ。 一躍大スターだ。都市伝説の総上書きよ。 どこへ行ったら見れるか? そんなもんわかったら、誰も苦労しねえし、人も死なねえよ。 何処にに現れるか、何人殺すか、証拠を残すか、すべて彼奴の気まぐれよ。気分次第では目撃者と一緒に写真撮ったりしてんだぜ。中には中坊ぐらいのガキに囲まれてなんてのもありやがる。 全くよう、世も末だよな。それはそうとよ。もう3時だぜ。行かなくていいのかい? 何? それはまたお前さんも酔狂な奴だな。いいぜ、こっち来な。 貸せ、俺が撮った方が全体が写るだろうがよ。 ん? 操作だって? へへっ、慣れたもんよ。 いくぞ、はいチーズ。
/1ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加